学習障害について

学習障害とは?

学習障害(LD)と左利き

学習障害(LD)と左利きには関係があるのではないかとする説があります。
というのも、左利きや両手利きの児童の学習障害(LD)の割合が、右利きの場合と比べると多くなっているからです。

「利き手」が存在するように、脳にも「利き脳」とも呼べるものが存在するそうです。
脳内における言語機能は左脳に偏在しているのですが、右利きの人の95%は左脳優位となっています。

一方左利きの人の場合は、言語機能が片側に偏ることはないと言われており、このことが脳の働きに違いが生じているいるとも考えられます。

昔から左利きは子供の意思にかかわらず無理やり右利きに矯正されることが多くありました。
社会生活においても、あらゆることが右利き用に作られていることが多く、左利きであると不便を強いられます。現在でも、駅の改札は右側から切符を入れたり、自動販売機のコイン入れも右側にあったり、右利きの人が使いやすいように設計されているものが多くあります。

脳が左手を指示しているのに、親が子供に無理やり右手でやるように指示することがストレスとなり、それらが脳に悪影響を与えているとも考えられますが、実際のところはそれらが学習障害(LD)と関係しているのかどうかは分かっておりませんが、学習障害の人に左利きが多い、というのは確かだそうです。

最近では、ユニバーサルデザインと呼ばれる設計が浸透しつつありますが、アメリカなどに比べて日本ではまだまだ遅れているように感じます。これからの動きに注目したいところです。

トゥレット症候群

学習障害(LD)は、チックと呼ばれる症状を起こすケースがあります。
チックとは、目をしばたかせる、手や足を叩きつける、顔をゆがめる、肩や首などを不自然に動かし続ける、咳払いを繰り返す、短く奇声をあげることを繰り返す、などの症状のことを言います。

トゥレット症候群とはチックという一群の神経精神疾患のうち、音声や行動の症状を主体とし慢性の経過をたどるものを指し、運動チックと音声チックがあります。
運動チックは、不自然な身体の動きが反復して現れ、それが多発するもので、音声チックは、短い音声をあげたり、意味不明な言葉を繰り返したり、時には汚言を繰り返すこともあります。
症状が重い場合、学校や家庭生活に支障が出るケースもあります。

多くは6~8歳児に出現し1年以上続き、女の子より男の子のほうに多くみられるようです。

併発症として、学習障害(LD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)、強迫性障害(OCD)、睡眠障害などがあります。

かつては、親の育て方に原因があるとか、親の愛情が足りないからだとか、両親に原因があるかのように言われることが多かったのですが、最近の医学においては、チックは大脳の基底核の病気であり、ドパミン神経系の過敏から来ていると考えられるようになっています。

諸外国ではチックの研究は古くから行われてきましたが、日本では、まだまだ世間に周知されておらず、診断や治療を正しく受けられていないのが現状です。

高機能自閉症

学習障害(LD)と混同されがちなものに、「高機能自閉症」というものがあり、文部科学省による「高機能自閉症」の定義は以下のとおりです。

『3歳位までに現れ、他人との社会的関係の形成の困難さ、言葉の発達の遅れ、興味や関心が狭く特定のものにこだわることを特徴とする行動の障害である自閉症のうち、知的発達の遅れを伴わないものをいう。また、中枢神経系に何らかの要因による機能不全があると推定される。』

一般の自閉症の場合、8~9割の割合で知的障害がありますが、高機能自閉症のケースでは知的障害が認められず、IQは標準あるいはそれ以上であることもあります。

「高機能自閉症」と診断される判断基準は・・・

(1.)知的発達の遅れが認められないこと
(2.)以下の項目に多く該当すること
人への反応や関わりの乏しさ、社会的関係形成の困難さ、言葉の発達の遅れ、興味や関心の範囲・種類が狭く特定のものにこだわること、その他の高機能自閉症における特徴に該当すること
(3.)社会生活や学校生活に不適応が認められること

と、されています。

高機能自閉症は、学習障害(LD)や知的障害(mental retardation)がないため、日本の法律では障害児とみなされず、IQが高いので障害があるということを発見されにくくなります。
またIQが高いにも関わらず、自閉症児にみられるような行動を起こし、周りが戸惑うことが多く、誰にも気づかれずに大人になってから分かるということもあるそうです。

高機能自閉症は専門家に判断をゆだね、そうだった場合には周りの大人の理解がとても大切になります。

アスペルガー症候群

前回ご紹介した「注意欠陥多動性障害(ADHD)」と同様に、学習障害(LD)と混同されがちなのが、「アスペルガー症候群」です。
アスペルガー症候群とは、自閉症の一種と言われており、高機能自閉症とアスペルガー症候群をまとめて「広汎性発達障害」と呼ぶ場合もあります。現在のところ、高機能自閉症とアスペルガー症候群との違いは、専門家の間では各々見解が異なり、明確な区分はないようです。

アスペルガー症候群の人は、(1.)社会性、(2.)コミュニケーション、(3.)想像力の3つの障害が合わさっていると言われます。

社会性の障害とは、人の気持ちを推測したりすることが苦手なことです。
他者との意思の疎通が困難となり、孤独感にさいなまれやすくなります。

コミュニケーション能力の障害とは、言葉は話せますが、一方的なことです。
感情や情緒を表す言葉は苦手です。

想像力の障害とは、大変限定された趣味を持ったり、変わったものをコレクションしたり、遊びの部分でかなりのこだわりを持ったりします。

また視覚、聴覚等の感覚分野において、過敏になる、あるいは鈍感であるケースがあります。
手先の不器用、動作の不器用など、字を書くのが苦手な場合もあります。こうした場合には学習障害が現れるケースもあります。

アスペルガー症候群の人は、自分の興味の向くものにはとことんこだわり、異常なまでに調べ上げ、相当な知識を持ちます。
こうした特徴から、社会的に活躍した人も多数存在し、プログラマーなどのような仕事に就く人も多く、かのビルゲイツもアスペルガー症候群だと言われています。

アスペルガー症候群の人の場合、独特のこだわりをやめさせるのではなく、活かす方向で支えてあげるといいでしょう。

LDとADHDの違いとは?

学習障害(LD)と混同されやすいものに、ADHD(Attention Deficit/Hyperactivity Disorder の略)があります。
日本語では「注意欠陥多動性障害」のことを指します。

ADHDは以下の3つの症状がみられる発達障害のことをいいます。
学校での生活態度において以下のような症状がみられます。
(1.)不注意・・・物事に集中することができない、宿題を忘れたり、学習道具を失くしたりする
(2.)多動性・・・落ち着きがない、席についていることができず、教室を歩きまわる
(3.)衝動性・・・突発的な行動を取る、順番待ちが出来ない
こうした症状の現れ方には個人差があります。

学習障害(LD)と、注意欠陥多動性障害(ADHD)との違いはどういったものなのでしょうか?
まずLDは「学習上」の問題があるということで、一方ADHDは「行動上」の問題だということです。

LDは学業上における障害で、専門家による知能テストを経て判断され、学習障害専門家、教育療法士などが調べることが多いです。
それに対してADHDは、学校あるいは家庭などのふるまい・行動によって判断され、それは、精神科医や、臨床心理学者などによって判断されることが多いです。

ただし、はっきりとLDとADHDの違いを区別することは大変難しいと言われています。というのも、ADHDはLDを併発しているケースが多いからです。

ADHDの一番の特徴である、不注意、多動性、衝動性がみられるかどうかでADHDかどうかの判断がなされることが多いようです。
LDとADHDは同じような症状が現れることもあるのですが、その対処法は違ってきますので、素人判断せず、専門家に診断してもらうようにしてください。

学習障害の診断基準

学習障害(LD)の診断、その診断基準はどのようなものなのでしょうか?

学習障害(LD)の診断は、まずは家庭や学校での情報、病歴やその生育過程、行動などの情報を収集することから始められます。
こうした調査の後、学習障害が疑われる場合には、知能検査が行われます。
知能検査は、WISC(Wechsler Intelligence Scale for Children の略)がよく使われます。

そこで学習障害が推定された時は、PRS(The Pupil Rating Scale Revised の略)、K-ABC(心理教育アセスメントバッテリー)、ITPA(言語学習能力診断検査)といった検査を行います。

PRSとは、行動や学習を調べるスクリーニングテスト。K-ABC(Kaufman Assessment Battery for Children の略)「心理教育アセスメントバッテリー」とは、子供への課題を与え、その解決法を調べる検査。ITPA(Illinois Test of Psycholingustic Abilities の略)「言語学習能力診断検査」とは、子供が課題を他の人にどう伝えるのかを調べる検査で、コミュニケーションをどのようにとるのかを調べる検査。

こうした検査を経て、学習障害であるかどうかの診断が行われます。

こうした専門家による検査によって、具体的数値で示されることにより、自分の子供が学習障害だと受け入れる心の準備を行う状況を作り出すのです。それ故これらの検査・診断は必ず専門家の手によって行われなければなりません。

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学習障害だった有名人

学習障害(LD)だったのでは?と言われている有名人はたくさんいて、例えばアインシュタインは失語症で、言葉がうまくしゃべれず、暗記ができなかったそうです。

レオナルド・ダ・ヴィンチの鏡文字も学習障害だったのではないかと言われているそうです。
エジソンは、母親に知的障害と思われて医者に連れていかれたそうですし、アンデルセンもその手書き原稿から学習障害だったのではないかと言われているそうです。

他にも小説家のアガサ・クリスティーやアメリカの女優のウーピー・ゴールドバークも失語症だそうです。

政治家でも、イギリスのチャーチルや、アメリカのジョージ・ワシントン、ジョン・F・ケネディなどがそうだったと言われています。
こうした人以外にもさまざまな人が学習障害だったのでは、と言われていますが、本当のところは定かではありません。

そうした有名人の中で自身が学習障害であったことを告白した人に、アメリカの俳優トム・クルーズがいます。
彼は学校時代、bとd、pとqの区別がつかず、本もすらすらと読めなかったそうで、それによりいじめに遭ったこともあったそうです。

俳優になってからは、セリフを覚えることに苦労し、そういった困難も録音したものを聞いて覚えるという方法で乗り越えたそうです。
現在は、学習障害についての啓発活動も行っており、来日当時小泉首相と対談し、そのことについての本を手渡しました。

学習障害であっても、社会的成功をおさめた人はたくさんおり、ある部分のマイナス面があるからこそ、違った部分のプラス面を伸ばそうとしたり、そこの能力を高めたりすることができるんだと思います。

学習障害(LD)は彼らにとって障害ではなく、その成功にとって必要不可欠な要素だったのかもしれません。

ディスレクシアとは?

学習障害(LD)の中で、一番研究の進んでいるのが、「ディスレクシア(dyslexia)」と呼ばれるもので、日本語では「失読症」とも呼ばれるものです。欧米ではかなり以前から研究されていましたが、日本ではまだまだ世間に認知されていないようです。

ディスレクシアの症状は、文字を混同してしまったり(bとdや、pとb、ぬとね、いとり、など)、単語を逆から読んでしまったり、文章をすらすら読めず、文字を書いても鏡文字(鏡に写したように、左右逆向きの字を書いてしまうこと)といったことが挙げられます。
また、単語の綴りを覚えることができなかったり、すぐに忘れてしまったり、話すのも大変ゆっくりであったり、理解が不十分だったりします。

こうした症状が起きる原因は、まだはっきりと解明されておらず、研究はまだまだこれからといったところでしょう。
アメリカの研究では、ディスレクシアの人の脳は、少し違った使われ方をしているのではないか、と言われており、遺伝も関係しているのかもしれないそうです。

まだまだ社会的認知も低く、苦しい思いをしている方々が多いようです。
しかし、ディスレクシアだからと言って、自分はできないんだ、と自尊心を失う必要はありません。

ディスレクシアと診断された多くの方がいますが、いろいろな分野で活躍されている方も多くいます。ハンデがあるからこそ、逆に特定分野の能力が伸びた、ということもあるのかもしれません。

政治家、芸術家や工学専門家、あるいは俳優、女優、画家など、数々の有名人の中に、ディスレクシアだという方がいらっしゃいます。
ディスレクシアは、日本ではまだまだ研究が進んでいませんが、今後それらの研究が進めば、さらにこういった有名人が増えることとなるかもしれません。

学習障害の症例

一概に「学習障害(LD)」と言っても症状やその現れ方は多岐に渡り、分類も困難なのが現状です。
医者で、学習障害(LD)と診断されたとしても、「この子は本当に学習障害なのだろうか?」と確信をもてないのが本当のところではないでしょうか。

いくつか学習障害の症例・事例をご紹介していきたいと思います。

・落ち着きがなく、じっと座っていることができない、授業中に集中して話を聞くことができない
・ぼんやりしていることが多い
・ひとりごとを言う
・集団行動を拒否する
・特定のものにかなりこだわり、融通がきかない
・かんしゃくを起こす、乱暴な態度を取る
・整理整頓ができない
・左右が理解できない、地図が読めない
・日時や場所の概念が理解できない
・鉛筆が持てない
・ボール蹴りがうまくできない
・よくつまずく

また言語面や算数などについてこのような症状がみられる場合もあります。

・言語が不明瞭
・単語が覚えられない
・文章を文の順番通りに読むことができない
・文字が鏡文字になってしまう
・計算ができない
・記号の使い方がわからない
・数の概念が理解できない

言語や算数が苦手な子供は、学習障害の中でも「ディスレクシア(dyslexia)」と分類されます。
日本では、「難読症」「失読症」または「識字困難」とも言われ、LDの中では最も研究が進んでいます。

周りの正しい理解がないために、いじめに遭い、自分を責め、最悪の場合自殺をしてしまうとことにもなりかねません。
ここで紹介した症例はほんの一部の症例で、個人差があるので、学習障害が疑われる場合には専門家に診察を受けられることをおすすめします。

学習障害=LDとは?

「学習障害」という言葉をお聞きになったことがおありでしょうか。通称、「LD」(※ 英語の「Learning Disabilities」の略)と呼ばれています。日本語で「学習障害」と呼ぶ場合の「障害」の言葉がいらないイメージを植えつけるので、LDと呼ばれることのほうが多くなりました。

「文部科学省」の定めるところでは、『基本的には全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算するまたは推論する能力のうち、特定のものの習得と使用に著しい困難を示す様々な状態を指すものである。学習障害はその原因として、中枢神経系になんらかの機能障害があると推定されるが、視覚障害・聴覚障害・知的障害・情緒障害などの障害や環境的な要因が直接の原因となるものではない』とされています。

つまりは、知的障害には該当しないが、1つかそれ以上の特定分野において、学習に困難を伴うものということです。

例えば、文字を習ったとしても理解できず、読むことができない。(読み)
読むことができても、文字を書くことができない。(書き)
簡単な計算であっても解けず、意味が理解できない。(計算)
他人の話すことを聞くことができない。(聞く)
聞くことができても、うまく話すことができない。(話す)
などの言語能力や計算能力の困難です。

また他にも、社会性の困難、運動の困難、注意集中の困難など、LDの症状は多種多岐に及びます。

LDは、現代の医学ではまだはっきりと解明されておらず、一部の症状を除いて医学的治療法もありません。
それ故周りの人々が「学習障害」について理解し、個々の症状にあわせた方法で導いてあげることが重要なのです。

まずは、他人と違う部分があるということを理解し、そのままを受け入れることから始まるのです。
何よりもまず、「周囲の人間の正しい理解」こそが必要なのではないかと思います。